上腕二頭筋長頭腱炎

このようなお悩みはありませんか?

  • 肩の前側から二の腕にかけて痛みがある
  • 腕をあげたり、重いものを持ったりすると痛みを感じる
  • 手を後ろに回す動作で痛みが生じる
  • 投球動作やテニスのサーブなどで肩に違和感がある

上腕二頭筋長頭腱炎とは

 上腕二頭筋長頭腱炎とは、加齢変性やスポーツ、外傷などによって上腕二頭筋長頭腱自体あるいはその周辺を取り巻く腱鞘の炎症が起こっている状態です。長頭腱の部分断裂を伴うこともあります。
 上腕二頭筋とは、上腕の前面にある『力こぶ』のことで、近位部(肩側)では長頭と短頭の2つの起始部があり、遠位(肘側)は橈骨粗面に付着します。上腕二頭筋長頭腱は、大結節と小結節の間に形成される結節間溝を通って肩甲骨に付着します。また、結節間溝には大結節と小結節をつなぐ横靱帯があり、上腕二頭筋長頭腱が結節間溝から脱臼しないように固定しています。腱鞘に取り囲まれることで、肩関節の運動に伴う腱滑走の摩擦を軽減していますが、構造的に狭いところ(結節間溝と横靱帯からなるトンネル)を通るため機械的刺激量が増加し、同部位での炎症が生じやすくなります。
 また、上腕二頭筋長頭腱断裂は中高年の自然断裂がよくみられ、腱板断裂合併の有無にかかわらず、上腕二頭筋長頭腱自体の退行性変性による肥厚や部分断裂を伴っているため、スポーツ動作だけではなく日常生活のちょっとした動作で完全断裂が起こります。上腕二頭筋長頭腱断裂では、断裂により遠位(肘側)に下がった筋腹が、上腕前面に隆起をつくる所見(ポパイ徴候)がみられます。

上腕二頭筋長頭腱炎の原因

上腕二頭筋長頭腱炎は、使いすぎによって長頭腱とトンネルで摩擦が生じることで起こります。構造的に狭いところを通るため、摩擦による影響を受けやすく炎症が起こりやすいです。

主な原因
  • 加齢による腱の変性
  • オーバーヘッドスポーツ
  • 姿勢不良           など

主な症状・所見

  • 結節間溝部の圧痛
  • 肩前方の痛み
  • ポパイ徴候(断裂時)      など
テスト法
  • スピードテスト
  • ヤーガソンテスト
  • アッパーカットテスト

当院での施術

徒手療法

肩関節周囲のストレッチや肩甲骨周囲筋・上肢の筋肉をほぐすことにより患部へかかる負担を減らします。

物理療法

早期回復のため、信頼度の高い物理療法機器を取り揃えております。炎症を抑え、組織修復を促します。

運動療法

肩甲帯全体の筋力バランスを回復させる運動療法を行い、上腕骨の求心性を戻すと同時に腱板機能の回復を図ります。

参考資料

  • 標準整形外科学/医学書院
  • スポーツ整形外科学/文光堂
  • 運動器疾患の機能解剖に基づく評価と解釈 上肢編/林典雄/運動と医学の出版社
  • 病気がみえる Vol.11運動器・整形外科/MEDIC MEDIA
  • 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法/松村将司・三木貴弘/MEDICAL VIEW