
コンパートメント症候群
このようなお悩みはありませんか?
- ケガの後に痛みや腫れが続いている
- 圧迫感や張り感が強く、動かしづらい
- 運動中や運動後に痛みが増悪する
- 筋肉の硬さや柔軟性低下を感じる
コンパートメント症候群とは
コンパートメント症候群は、筋膜に囲まれた筋区画(コンパートメント)の内圧が上昇し、循環不全により神経、筋に不可逆性壊死をきたすもので前腕と下腿に好発します。外傷などを原因とする急性コンパートメント症候群と、激しい運動を原因とする慢性コンパートメント症候群があります。急性コンパートメント症候群は、発症すると内圧の上昇と循環不全が相互に増悪し合う悪循環に陥ります。進行すると阻血性拘縮(前腕ではVolkmann拘縮、下腿では前脛骨区画症候群が代表的)をきたし、重大な運動機能障害を残すため、迅速な対応が必要となります。
前腕コンパートメントの解剖
前腕コンパートメントは3区画①掌側区画、②背側区画、③橈側区画に分けられています。①掌側区画には、屈筋群(長掌筋・浅指屈筋・深指屈筋・円回内筋・尺側手根屈筋・長母指屈筋・橈側手根屈筋)、②背側区画には伸筋群(総指伸筋・小指伸筋・尺側手根伸筋・短母指伸筋・長母指外転筋・長母指伸筋)から成り立っています。前腕コンパートメント症候群の好発部位は掌側区画です。
下腿コンパートメントの解剖
下腿コンパートメントは4区画①前部区画、②外側区画、③浅後部区画、④深後部区画に分けられています。①前部区画には前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋が存在し、②外側区画は長・短腓骨筋、③浅後部区画は腓腹筋・ヒラメ筋・足底筋、④深後部区画は後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋から成り立っています。硬いコンパートメント症候群の好発部位は前部区画です。

Volkmann拘縮
Volkmann拘縮は、前腕のコンパートメント症候群などに伴う不可逆性の阻血性拘縮です。上腕骨顆上骨折が原因となることが多いです。Volkmann拘縮が完成すると手の機能が失われ、手を使えなくなることがあるため、拘縮に至る前(6時間以内)の予防処置が重要となります。

前脛骨区画症候群(前脛骨筋症候群)
下腿の前部区画で発症したコンパートメント症候群です。コンパートメント症候群の症状に加え、足背側母趾・第2趾間の感覚障害、足関節や足趾の自動背屈(伸展)ができなくなるなどの症状がみられます。

コンパートメント症候群の原因
下腿コンパートメント症候群には急性と慢性にそれぞれ分けられます。
急性区画症候群の原因
骨折などによる外傷性の筋肉内出血や浮腫、外固定(ギプス・包帯)などによる長時間の圧迫をきっかけに発症します。
慢性区画症候群の原因
激しい運動による急激な肥大に筋膜の拡大が追いつかず、筋区画内圧が上昇して疼痛が生じます。

主な症状・所見
急性区画症候群では、下記の症状がみられます。疼痛は初期症状として現れ、骨折などの疼痛に比べて激しく、経過とともに増悪します。
- 蒼白
- 脈拍消失
- 疼痛
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 腫脹
- 他動的に伸展した際に疼痛増強 など

当院での施術

エコー検査
ケガの部位や状態を正しく把握するためエコー検査を行います。腱の治癒過程を観察する上で有用です。

病院紹介
コンパートメント症候群の疑いがあり精密検査が必要と判断した場合は、近隣病院へご紹介しております。

物理療法
早期回復のため、信頼度の高い物理療法機器を取り揃えております。組織の修復や疼痛の軽減を促します。

徒手療法・ストレッチ
筋萎縮や筋緊張・痛みの緩和を促し、瘢痕を残さないように状態を確認しながら徒手での介入もしていきます。

運動療法
運動療法では、可動域訓練や筋力強化を行います。スポーツをしている場合は、徐々に競技と関連した動作を行なっていき競技復帰を目指します。
参考資料
- 標準整形外科学/医学書院
- 病気がみえる Vol.11運動器・整形外科/MEDIC MEDIA