肩関節腱板損傷

このようなお悩みはありませんか?

  • 肩を上げると痛い
  • 肩を上げると引っかかりや違和感を感じる
  • 肩を上げきると痛みが軽快する
  • 夜中に肩が痛くなる

腱板損傷とは

腱板損傷は、肩の腱板(肩甲骨と上腕骨の間にある四つの筋肉とそれらを覆う腱の集合体)に生じる損傷です。この損傷は、肩を上げたり回したりする際に生じる過度のストレスや急激な運動、事故などによって引き起こされることがあります。

腱板はローテーターカフとも呼ばれ、肩の解剖学的構造である腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)によって構成されています。これらの筋肉と腱はすべて肩甲骨から起こり、肩関節の安定性や動きをサポートする役割を果たしています。

その中でも肩甲骨の上にある『棘上筋腱』が腱板の中では最も損傷しやすい部位です。棘上筋腱は、肩関節の上で肩甲骨と上腕骨の間に位置し、肩を外側に持ち上げる動作の補助しますが、この領域に繰り返しストレスが加わることによって、肩の挙上や外旋の動きに痛みや圧迫感、可動域制限などの影響を与えることが考えられます。

腱板の付着部は血管の吻合部であり変性を受けやすく、組織修復反応も低いことが予想されています。また、棘上筋腱と肩甲下筋腱の間には腱板が存在しないため結合が弱く、内・外旋における腱板間の軋轢を吸収する反面炎症が生じやすい部分です。

このように、隣接する組織が複雑であるため、炎症の波及が症状の重篤化を招く可能性があります。正確な損傷部位は症状や画像検査や徒手検査の結果に基づいて判断していく必要があるため、症状に覚えがある人は早めの受診をお勧めします。また、当院では傷病に対して痛みをとるだけではなく、腱板の機能を改善するためのトレーニングも並行して行い、根本的な改善を図っていきます。

腱板損傷の原因

スポーツで肩に大きなストレスをかけたり、仕事で重い物を持ち上げるといった肩の過度な反復動作が原因で発症します。また、加齢に伴い腱や筋肉の弾力性や強度が低下し、腱板が劣化する可能性があります。

主な原因
  • 急激なスポーツ活動への参加
  • 加齢による柔軟性・筋力低下や骨変形
  • 交通事故などの強い衝撃や転倒
  • デスクワークなどの長時間の同一姿勢

主な症状

腱板損傷は「腱板自体の損傷」と「腱板疎部の損傷」で臨床症状が異なります。それぞれの主な症状を以下にまとめておきます。

腱板自体の損傷
  • 挙上筋、回旋筋の筋力低下
  • 肩甲骨頭間距離の狭小
  • 棘上筋、棘下筋の筋委縮
  • 断裂部の陥凹の触知
  • 夜間痛、圧痛
  • 軋轢音
腱板疎部の損傷
  • 外転、過外旋、水平外転動作時痛
  • 患部周囲の明確な圧痛、倦怠感、しびれ感、脱臼感
  • slipping現象
  • 腱板疎部への造影剤の逸脱、陥凹像
  • 烏口上腕靭帯、腱板、関節包への炎症の波及による癒着
  • 外旋、挙上制限
テスト法(腱板自体の損傷)
  • shrug sign 陽性
  • drop arm sign 陽性
  • effusion sign 陽性
  • Dauburn's sign 陽性
  • painful arc sign 陽性
テスト法(腱板疎部の損傷)
  • dimple sign 陽性
  • ball sign 陽性(MRI所見)

当院での施術

徒手療法・ストレッチ

筋肉をほぐすことにより、筋緊張・痛みの緩和などを促します。また、肩関節周囲のストレッチをすることで患部にかかる負担を減らすことができます。

鍼灸施術

腱板の筋肉の緊張緩和を目的に施術をしていきます。鍼灸施術にて筋肉の硬さを軽減させ、症状の改善を促します。

物理療法

早期回復のため、信頼度の高い物理療法機器を取り揃えております。組織の修復や疼痛の軽減を促します。

運動療法

肩関節の可動性の維持・拡大と、腱板機能の維持・向上を目的とした運動療法を行います。

参考資料

  • 理学療法23巻「腱板損傷」/西川仁史 
  • 肩関節外傷・障害の理学療法「腱板損傷の理学療法」/高橋友明 畑幸彦