後十字靭帯損傷(PCL損傷)
このようなお悩みはありませんか?
- 膝を強く地面にぶつけてから膝後面が痛い
- 交通事故にあってから膝後面が痛い
- 膝をケガしてから坂道や階段の上り下りに不安定感がある
- 膝の後面に不安定感を感じるがスポーツ中は気にならなくなる
後十字靭帯損傷(PCL損傷)とは
後十字靭帯(PCL)は大腿骨に対して脛骨後方移動を抑制し、膝関節後方安定性を担う重要な靭帯です。大腿骨顆間窩内側壁から脛骨後顆間中央の窪んだ部分に付着しており、前十字靭帯(ACL)と交叉して走行しています。
PCLはACLとともに表面が豊富な血行を有する滑膜で覆われており、その滑膜より微細な毛細血管が靭帯内へと走行しています。それに加え、膝窩動脈から分岐した多くの血管が血流供給を行うため、PCL損傷はACL損傷と比較しても血行が豊富であることからACL損傷よりも治癒が期待できます。MRI検査でPCLの連続性が保たれている場合は保存療法の適応となることが多いです。
受傷早期は膝窩部の疼痛や関節腫脹がみられます。PCL単独損傷の場合には自覚症状が認められないこともあり、後方不安定性が残存した場合、坂道や階段昇降時の膝不安定感などが起こります。その他の症状として膝崩れ、屈曲位から伸展する際の後方落ち込み、不安定感が認められます。
後十字靭帯損傷の原因
PCL損傷はラグビーやアメリカンフットボールなどのコリジョンスポーツや柔道、レスリング、交通外傷などで発生することが多いです。膝屈曲位において下腿に前方からタックルを受けたり、地面に膝を強く打ち付けたときなどに発生します。交通外傷においては、乗用車の追突事故など膝屈曲位で脛骨粗面付近を前方から打撲して受傷するケースが多いです。
主な原因
- スポーツ活動中の前方からの接触
- バイク、乗用車などの運転中の転倒、衝突事故
- 人や物の下敷きによる事故
- 高所からの転落
主な症状
- 受傷早期に膝窩部の疼痛や関節の腫脹が現れる
- 膝窩部の圧痛
- 膝70~90°屈曲位で脛骨近位が後方に落ち込む(tibial posterior sag sign)
- 後方不安定性が残存すると、膝崩れや坂道、階段昇降時に不安定感が現れる
当院での施術
徒手療法・ストレッチ
膝蓋骨周囲の軟部組織を緩めることにより、大腿脛骨関節と膝蓋大腿関節の正常運動を促します。また、膝蓋下脂肪体をほぐすことで癒着、線維化を予防することができます。
物理療法
早期回復のため、信頼度の高い物理療法機器を取り揃えております。組織の修復や疼痛の軽減を促します。
運動療法
膝関節拘縮を予防するため、脛骨の後方落ち込みが生じないように考慮した可動域訓練や、大腿四頭筋を中心とした筋力強化を目的とした運動療法を行います。
参考資料
- 整形外科医のための膝のスポーツ診療のすべて
- 膝関節重度複合損傷(前及び後十字靭帯同時損傷を含む)の治療経験
- 後十字靭帯損傷患者に対する筋力増強訓練の効果について